”靑流" 算命学講座

　　　　　　　　　　算命学講座①

★人間とは何か
「人間は自然と同じ気で作られている」　
これが算命学の存在論の骨子であり、これ以外にはない。算命学にとってこれはひとつの真理なのだが、人間が気で作られているということの証明は、帰納法的にはなされようがなく、それを真理と呼ぶなら、それは一種の宗教的な真理となる。
ここでは、まず、人間が気で作られていることを、宗教的な真理として前提とする。そして、それが宗教的な真理から普遍性を持つ真理に近づくには、占いが当たる、それも真理的な当たり方をする必要があって、占いの意味はそこにもあると考えている。

★気とは何か　
　

写真のチーズケーキを人間とするなら、「気」は右の材料と同じ。材料は目に見えるが気は見ることができない。その違いはあるが、チーズや生クリームや砂糖がある手順でチーズケーキになっていくように、見えない気が集合することで人間が作られていく。のみならず、山や川や存在する森羅万象が作られている。チーズケーキが様々な材料の集合体であるように、人間もまた気の集合体である。

「気」とは、形を持たないなんらかの指向性を持った動的エネルギーと定義したい。それがすべての存在元素であり、元素は５つある。それは五行と呼ばれ（木火土金水）、それぞれ陰陽に分かれて10種類の気が実質的な構成要素となる。簡単に言えば、木の気性が地上で樹木や草花になり、火の気性が太陽や灯火を作っている。
気は「干」（かん）と呼ばれる符号を与えられ下記のように表記される。

五行	木性	火性	土性	金性	水性
陰陽五行	木陽・木陰	火陽・火陰	土陽・土陰	金陽・金陰	水陽・水陰
干	甲・乙	丙・丁	戊・己	庚・辛	壬・癸
読み方	こう・おつ	へい・てい	ぼ・き	こう・しん	じん・き

この見えない10の気が、森羅万象を作る材料である。

★時空間とは何か
薄力粉や生クリームがチーズケーキになるまでに、諸々の行程や方法があるように、気が人間になるためにも、決まりごとがある。チーズケーキを作るには時間がかかる、というのは当たり前のことだが、時間とは何かと考えると、大きな意味では、ケーキを作るためのプロセスと言い換えることができる。まず、材料をボールに入れてまとめてかき混ぜて、オーブンで焼いて、というプロセスが時間になる。
もう少し厳密にいえば、時間とは薄力粉や生クリームを存在させている「瞬間の時間」を言う。その瞬間が連続することで、材料がケーキになって行く。人が生まれた、というのは、その瞬間の時間を得たことに他ならない。時間とは見えない気を存在させるためのフレームのことである。気は時間フレームの中に入ることによって姿形を得る。

ケーキの材料がボールに集められた瞬間は、人間が誕生する瞬間に例えられる。見えない気を見える存在にするためには、ボールが必要で、この入れ物は人が生まれた時の「時間」によって構成されている。人が生まれた瞬間の年月日の気が、それぞれの入れ物に取り込まれる。ケーキの材料は目に見えるが、同じようなことが生誕の時に起こっていると考えてみる。生年の気、生月の気、生日の気の３つの気（材料）がボールの中に混ぜられる。このボールの集合体が人間を作る材料となる。それは時間フレームに入った気がベースになっているが、それだけではない。

チーズケーキの材料たちがケーキになるためには人間の力（意志）が必要であった。同じように人間を作る気にも、見えない力が加わっている。その力は神のようであり、自然の摂理のようであり、宇宙理念のようでもあるが、それは、宗教や西洋の神のような人格や人間的な意思をもったものではない。それを算命学では「空間」と呼んでいる。空間もまた気でできている。

時間の入れ物は「支」と呼ばれ、全部で12ある（子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥）。右の「亥」は、生まれた年の入れ物に、その年の気（甲と壬）が入った状態であり、ケーキで言えば、これが薄力粉であり、生クリームになる。「子」は月の気、「卯」には日の気が入っている。
もうひとつ、その入れ物には蓋があって、それぞれに、己・丙・癸という気が載っている。この蓋は材料からチーズケーキを作る人間の手のようなもので、人間をつくるものだから、それは天（神）の手と言える（天干）。
12の支とそれに含まれる地の気（蔵干）を「時間」といい、フタのように上に乗る天の気を「空間」という。人間は（存在は）時間と空間によって成り立っている。物理的な意味の人間でいうなら、空間（天干）は精神であり、時間（地支）は肉体（現実）となる。

このように12支という入れ物に天干という蓋が載った3つの要素から人間は作られている。個々は、天干＋支＝干支と呼ばれ、3つ揃ったものを宿命と呼ぶ。宿命は、いわば人間の設計図（レシピ）のようなもので、人間を作るための原材料が、生まれた瞬間にパッキングされたものと考えるとよい。生まれた日の気、生月の気、生年の気がそれぞれ個別の入れ物（12支）に入れられて、その上にそれをコントロールする天の気が蓋をするように置かれている。そして、この3つの入れ物をワンパックとして人間は作られている。

気の入れ物（12支）は生年月日という時間を表す記号とも言える。例題の宿命は、2020年1月1日生まれの人。流れているのは時間ではなくて、気のほうであり、3つの12支は誕生の瞬間の気の動きを時間という物差しで測った結果である。

★人生とは何か
人間は気で作られていて、しかも気そのものに指向性（意志のようなもの）があって、それが創造物を動かしているとすると、人生とは人間が生きているのではなく、「気が生きている」という観点からとらえる必要がある。それは、哲学的な問題ではなく、占い的な問題として。
つまり、人が幸福になることを占うことは意味がない。人が不幸にならないように注意喚起することは違う次元では意味があることだが、それも実は占いの本質ではないと思っている。

その観点で言えば、人間は舞台俳優と同じだろう。気はシナリオであり監督で、人間とは与えられた舞台で与えられたシナリオに沿って演じるアクターアクトレスになる。そして、名優もいれば大根役者もいる。ミスキャストもあればアドリブが過ぎる人もいる。占いはシナリオと監督の意志を読み取って、俳優に示すことだろうと思う。役者の人生に関与するのではなく、名優を作るためのサポートをする、それが占いの役割だろうと思う。ドラマの上では悲劇の主人公であったとしても、それを見事に演じられるなら、それは名優であり、占いはそれを応援することなのだろうと思っている。

　　　　　　　　　　　　　　　　