精神を観る@
 
★干支に表れる病む構造
ここでは、精神を病んだ人の宿命を検証し、そこになんらかの共通点を見出し、病むに至る理由の宿命的検証をしてみようと思う。
一口に精神を病むと言っても、近年ではさまざまな病名がつけられていて、それぞれに違った見解が出てくるような気もするが、その方面の専門家ではないので、まずは、ウツやパニックなどのポピュラーな精神状態を経験した芸能人を例題としてとりあげ、そこからの検証を進めて行こうと思う。

その前に、算命学ではそうした精神を病む現象をどのようにとらえているのかを探ってみる。高尾算命では精神を病む状態を「ノイローゼ」「異常性」というような言葉を使って表現している(高尾先生の時代では、今のような多様な分類がなされていなかったため)。その前段階として「不安定」という言葉は随所に出てくる。干支占技の文言から「ノイローゼ」と「異常性」で検索すると、

13・丙子 ふらふらと心が揺れ動く人。女性は特にその要素が強く、
     ノイローゼも。
41・甲辰 無の強さで凄い迫力があるが、異常性もでやすい。
42・乙巳 〃

この3つが該当した。丙子は自分を支える12支が癸(陰水)1気なので、揺れ動くことは仕方のないところだが、実際に、ノイローゼに該当する例はほとんどない。申酉天中殺グループは現実への対応力があり、本能的にバランス感覚があるので言われているほど、大きな揺らぎはないと思われる。
41、42は日居中殺で、精神中殺などといわれているところから、こうした文言になっているが、だいたいはセルフコントロールを身に着けるので、言われているような異常性は、表からはわからないことが多い。

次に「不安定」で検索すると、

13・丙子 神経質で精神的にも不安定。
30・癸巳 現実的な価値観と精神的な価値観が相克して精神は不安定。
36・己亥 感情の起伏が大きく、不安定な気持ちを抱えている。
42・乙巳 内面は感受性の鋭い寂しがりやで不安定な心を持て余している。

先の番号と重複が二つあり、30と36は異常干支。
もう少し範囲を広げて、「葛藤」レベルのものをピックアップすると、

4・丁卯 無限の気を有しながらも、有形の理想を求めるところに精神の
     葛藤が起こる。
9・壬申 思考の複雑さが精神的な葛藤を大きくしている。
24・丁亥 気持ちがふらふらしがちで葛藤が大きい。
25・戊子 平均的(常識的)な思考が少ないため、自分の中でも気持ち
     の葛藤は大きい。
27・庚寅 心の葛藤と放浪のいばらの旅に似た人生になる。
50・癸丑 心の中はかなり複雑で内面の葛藤が大きい。
56・己未 晩年になり、無形無限の世界に遊ぶことができにくく、心の
     葛藤が大きくなることも。

4は座下1気、9は構造的に不安定要因があり、24と25は異常干支、27は座下天馳星エネルギーでやはり不安定要因となる。50と56は、エネルギーが強く、本元が土性で安定感があるので、葛藤が内向することなく表に出やすいので、むしろ周囲が葛藤することになるようなこともある。

もう一つ「孤独」というキーワードで検索してみる。高尾先生は遠回しに何かを伝える方なので、教科書ではきつい表現もあるが、原典算命学のほうでは、言葉の使い方には気を使われているなと感じさせる部分が多々ある。「孤独」もその一つで、この言葉の中に、自ら招いてしまう孤独というニュアンスもあって、自分の融通の利かなさが、結果的に招いてしまう孤独も含まれているように感じる。精神を病むケースでは、宿命の構造的な問題よりも、自分で自分を追い込んでしまっているケースも考えられ、「孤独」が使われている説明の中に、そうしたケースもあるだろう。そこで、「孤独」でヒットした干支の中で、「孤立」の危険性のある文言をピックアップしてみた。

1・甲子 孤独の中にあっても心は常にエネルギッシュに未来に向かう。
4・丁卯 集団の中でもひとり違った感受性になり孤独を感じやすくなる。
5・戊辰 孤独を感じない孤立の状態を作り出す危険性もある。
11・甲戌 単独行動向き。孤独性が強い。
18・辛巳 真の理解者を得にくく人生では相当の孤独に対する覚悟も必要。
19・壬午 行動力に頼ると波乱を呼ぶ。孤独傾向。孤独の成功者。
20・癸未 集団の中に入ろうとするが結果は孤独感を味わうことになる。
28・辛卯 孤独になって自分本来のエネルギーが燃焼する。
34・丁酉 一見激しい前進力と闘争心にみられるが、本質は孤独性の強い
     情緒的な性情。
36・己亥 孤独の中にあってこそ最大のエネルギーの発揮ができる。
42・乙巳 本質的に孤独運を持っている。
46・己酉 孤独感もあり多分にロマンティストの傾向も。
49・壬子 よほど理性を磨かないと、孤独で苦しい人生になってしまう。
50・癸丑 孤独であっても寂しがらない。自分の好き嫌いで行動する。
54・丁巳 心の中は寂たるものがあり、孤独を好む真情を持つ。
57・庚申 孤独の中にあると闘争の世界に進み、衆に囲まれると守備力
     が強くなる。
60・癸亥 家庭の平和に恵まれ難く、精神の世界では孤独。

「孤独」でヒットした番号は、概ね強さを持った人たちで、孤独体質であるがゆえに、孤立が精神不安を呼ぶものではない。ただ、これらの干支は、孤立を恐れないがゆえに、独断専行型の人生になることが多く、孤独に強いと言っても、行きすぎれば耐えられない場面も出てくるだろう。強いがゆえに、受けるダメージが大きくなる危険性が潜んでいるとも言える。

★異常干支
ここまで見てきた中にも、異常干支と呼ばれる干支があった。「異常」という冠がついているので、算命学では、十三種類の異常干支は異常性が含まれていることを明言している。ただ、異常=おかしい、ではない。異常干支について、高尾算命では次のように書かれている。
『異常性といっても、おかしなことばかり考えないでください。天才でも異常性です。ピカソみたいな絵は異常でなかったら描けないでしょう。名人になるというのは、たいていその部分だけ異常なのです。つまり普通の人と違うところは必ず異常なのですから、大抵天才は異常です。
天才も異常ですが、本当の異常もいます。つまり檻の中に入っている異常もあるわけで、どちらになるかわからないが、なにしろおかしい面が出てくるのです。』
"檻の中にいる異常"というあたり、高尾先生らしい表現で、苦笑するところ。これは比喩ではなく、精神病棟や刑務所を指しているようにも思える。そのぐらい、算命学では異常干支に見る異常性は強調されている。もちろん、プラス面でも、マイナス面でも。

ただ、実践的な感覚からすると、異常干支=異常は、プラス面でもマイナス面でも、それほど際立つものとも言い切れない。それでも、異常干支の中には暗号構造(天干と地支が干合する)を持つものもあって、構造的に病む可能性を観ることはできる。



暗号系の異常干支は7つ(赤色)。7つとも暗号+この世のものではないエネルギーを持っている。暗号がありながら、異常干支にならない他の番号は、31以外はみな現実のエネルギーを持っている。例外の31番は、暗号しても地支の己が変化しないので、コントロール不能な落ち込み方は構造的にはしない。
とはいえ、暗号だけではなく、干合する構造は、心身ともに不安定な状態を生じることは間違いなく、異常干支は本性的なリスクを得背負っていることを否定はできない。

               
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